はじめまして。横居安咲と申します。

この度、『秘書』という仕事をテーマに連載させていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。

さて、デジタル化が進む昨今、秘書もAIで対応できるのではないかという声もちらほらあります。
今後生き残る『秘書』になるための存在価値を見出すにはどうすべきか。
秘書歴15年の中での気づきを基に書いていきたいと思います。

1.秘書の仕事とは

『秘書』には華やかな印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は主役(ボス)を引き立たせる為の徹底した裏方仕事です。

秘書はひと言で言えば 『お手伝いさん』 だと私は思っています。

上司の業務が滞りなく進められるためのサポート役ですので、業務量はスケジュール調整から雑務まで、広範囲で膨大なことが多いです。

スケジュール調整に関しては、急遽の変更対応も少なくありません。その場合は緊急度と重要度を考慮の上、上司の指示に従いながら、スケジュールを組みなおします。
同時に変更事項を共有すべき人に伝達することも不可欠です。

膨大な量の対応の中で抜けが起こらないように、社内システムやデジタルを平行して使いこなすと効率もあがります。

雑務の中では、例えばランチを取る時間がなさそうな場合は隙間時間に取れるものを用意しておいたり、先回りして準備するのも秘書の仕事です。
機転を利かせる事、細やかな気遣いが求められます。
出張手配や精算、資料の準備などの事務作業も多くこなします。

また、担当する上司によって業務の進め方は変わります。

ある程度ご自身で手配する方、全てお任せする方、個人個人の考え方も違います。

お互いに効率よく仕事をすすめるために、コミュニケーションを普段から欠かさず、意向や趣向を知り指示を仰ぎ、確認を欠かさない事は大切です。

デジタル化といえども秘書には個別対応が多く、まだまだアナログな頼まれ事が多くあります。このアナログな所に焦点をあてて、自分の付加価値を高めていくことが生き残るポイントになると思います。

2.あった方が良いスキル

担当する上司にもよりますが、企業のトップに立たれる方は様々な案件を抱えておられます。
ひと口にスケジュール調整といっても案件が社外、社内と色々な方向からくるので、情報処理能力、判断力、社会人マナーが求められます。

そのため、秘書採用には経験者を優遇することが多くなるのです。

資格勉強も良いですが、未経験者OKの採用枠もありますので、実践してまずは経験される事をおすすめします。

秘書はまた、1人のビジネスパーソンでもあります。

ビジネスの基本を理解している事も大切だと私は考えます。

例えば上司から何か指示を受けても、様々な事を想定することができるようになるからです。
簿記、ファイナンシャルプランナー、株価、為替、不動産など、経済について少しでも興味を持った事から勉強を始める事をおすすめします。

日頃から視野を広げて多様な事に興味を持つようにすると、判断力への自信にもつながり、対応力も高まります。

外国語については、少なくとも英語を勉強しておくと良いです。

世界中で共通言語として使われているため、英語を母国語としない国の人でもビジネスマンは英語を話します。

国内企業でもグローバル展開している企業が増えていますので、秘書にとって今後英語は必須となるでしょう。

英語を話すと共にそれぞれの国の文化へのリスペクトも大切です。
各国の文化を知ることで、人としてのマナーを知ることに繋がると思います。

余談ですが、私は外国語がとても苦手です。
今はスペイン語圏の国に住んでいるので、つくづく面倒だと思いながら勉強しています。

不真面目な私なので、レッスン中には語学というよりも料理やおすすめレストランの事ばかりを先生に尋ねて脱線させてしまいます。
ですが、これだとスペイン語の基本フレーズが頭にスッと入ってくるのです。

苦手なことをしなければならない時は、正攻法ではなく自分が受け入れやすい何かから入ってみるのもいいかもしれません。

3.秘書に求められる資質について

1.にて、「秘書は上司の業務が滞りなく進められるためのサポート役」と言いましたが、指示される前に察して動けること、細やかな気遣いができることが求められます。

また、相手の意思を察する事、価値観を尊重する事も大事です。

人(上司)によって価値観は異なります。
自分にとっては重要でないと思う事も、その人にとっては最優先事項であるという事が多々ありますので、偏らずフラットな見方を持ち続けることを意識しましょう。
相手が何を求めているか想定できるようになります。

そして、あくまでサポート役としての立場と冷静な客観力を忘れない事です。

秘書の印象は担当上司への印象にもつながります。
わかりやすく見た目の清潔感について一般的によく言われますが、それはビジネスパーソンとして当然のことですので、ここでは言及しないことにします。

大事なのは、上司以外の人間関係です。

上司からの指示によっては、いろいろな方に助けていただくことも少なくありません。

皆さん理解してくれますが、忙しい中の対応をお願いしているわけです。

急な依頼であればなおさら、メールと共に1本電話をしたり、敬意と感謝の気持ちを示すことが大切です。

このような積み重ねで人間関係を大切にしていると、何かあればお願いしやすくなりますし、仕事も円滑にすすめることができます。

自分の立場を理解した立ち振る舞い、察し力、コミュニケーション力を心がけましょう。