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経営者視点を持ての罪

  • 2022年9月8日

加藤です。

本日はよく言われる「経営者視点を持て」という、ちょっととややこしい話題を。

よく「経営者目線で」と言われますが、
ちょっといいかえると「大きな視点」となります。
では、その「大きな」という定義を先にしておきますが、
例えば国であったり、県であったり、小さくても数万レベルの組織とします。

こういう、人も機能も膨大な仕組みってどうやって成り立っているのか?
ということを考えたことがありますでしょうか?
組織や機能、人やお金、全てがどう組み合わさり、どう結果が生まれているのか?
細かいことはさておき、大枠把握するなんて現実的でしょうか?

色々言う前に結論を書いてしまいますが、
こういうものは、経験した人でないと想像することすら本来無理です。
もし想像できたとするならば、ドラマや漫画などで見たなにかでしかないです。

では、なぜそう言い切れるのか?ですが、
普段仕事をするという際に自分と自分の周り以外のことを気にしたことはありますか?

会社の中に他の部門がどんな人がいて、どんな仕事をしているか、
普通そんなことは考えもしないでしょう。
考えもしないことを想像するのは絶対に無理だからです。

にもかかわらず、会社の業績が悪くなると
「経営者視点を持って取り組んでほしい」という言葉が飛び出るのです。
これはなぜか?不思議に感じませんか?

これには理由がありまして、普段から全体を見渡している人は、
全ての人にこの景色を見て仕事をしてほしいと考えてしまう節があります。
そうすれば自分がしていることが、
他所にどれだけ影響与えるかわかるだろうと、
考えてしまうからです。

ですが、ここに落とし穴があります。
そもそも組織や機能の1部を担うことしかしていない人は、
空からみた全体図など想像もできなければ、
そんな景色があることすら考えもしないからです。
これがよく言う従業員と経営者のギャップというものですが、
ではこれをどうしたらよいのでしょうか?

簡単です。ギャップを埋める必要はありません。
もっと言えば、経営者視点は経営者が持てばいいものであって、
それよりも自分が成すべきことをしっかりと自覚させるほうが、
どれほど重要かということになります。

大きな枠組みは長い期間をかけて、非効率であったとしても、
結果に繋がるように微修正を繰り返しきたからこそ、今日も続いているのです。
だからこそ、一人一人が何を成すべきか?をしっかりと自覚し、
もし改善をするのであっても、自分の役割の範囲を変えるということが、
大きな枠組みの場合は最善策なのです。

よくRevolutionを叫ぶ従業員は多いですが、
Evolutionを叫ぶ従業員は皆無です。
しかし、大きな枠組みに本当に必要なのはEvolutionなのです。
なぜなら、今結果を出しているからです。
1からやり直して今の結果を出すまでにどれだけ時間が必要になりますか?
それをやる価値がありますか?
そして、それは大きな枠組みのすべてを把握していて、
はじめて判断できるものではないでしょうか。

小さく低い視点から見えるものは、
大きく高い位置から見える景色とはまるで違うものです。
ですから、経営者視点を持てというのは混乱を招くだけなのです。

本日はよく言われる「経営者視点を持て」の罪についてお話いたしました。
なにかの参考になれば幸いです。