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AIに著作権はあるか?

  • 2023年8月29日

最近はChat-GPTなどの「生成AI」が実際のアウトプットするシーン
が増えてきました。
AIが文章を書いたり絵を描いたり、はたまたプログラムを書いたり。
”AI絵師”なんて人たちもでてきていますね。

そこでふと疑問が湧きます。
AIが描いた絵の著作権は誰が保有するのでしょう?
そもそもAIが描いた絵に著作権は発生するのでしょうか?

新しいジャンルだけにこの部分の理解というか整理は
必ず必要になってきますし、トラブルの元になる気がします。

AIの著作権の話の前に、もう一度「著作権」についてのおさらいをしましょう。

まず著作権とはなんぞや?というと、
著作権法の第一条にその目的が書かれています。

著作権法第1条(目的)
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利 及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、 著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

著作権法

ざっくり言うと著作者の権利を保護することと、
著作物の公正な利用による文化の発展を目指すということですね。

じゃあ著作物って?ということになると、
これも定義があります。

①思想または感情を
②創作的に
③表現したものであって
④文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの

著作権法第2条第1項第1号

なのでこれ以外のものは著作権でいう著作物には当たらず、
著作物性のないものになります。

では次は「著作者」

著作者についても定義があり、

「著作者」とは、著作物を創造する者をいいます。

著作権法第2条第1項第2号

著作物を創造した時点で、著作者はなんら手続きをとらなくても、
自動的に「著作権」(及び「著作者人格権」)と取得し、
「著作権者」となります。

著作権法第17条第1項、第2項

なるほど、著作物に該当するものを作った時点で
自動的に著作権が発生するのですね。

では話は戻ってAIは著作権者になりうるのでしょうか?
これは海外で面白い例があります。

猿が自撮りした写真の著作権をめぐって争ったアメリカのがあります。
この裁判の判決で示されたのは、著作権者となるのは”人間だけ”ということです。
そうです、この理解だとAIも人間ではないので著作権者にはなれなさそうです。
実際に同じくアメリカでAIが作成した作品は著作権で保護されないとの判決がでました。

日本の著作権法ではどのような法的整備となるのでしょうか。

現段階の状況をざっくり言うと

・AIが自律的に作成したものについては著作物に該当しない
・人がAIを表現の道具として使用した場合はAIの利用者が著作権者となる

という見解らしいですが、まだまだ議論は必要な気がします。
またAIは学習データを読み込ませることが必要ですが、
そこの法的な整理も必要ですね。

まだまだ議論の余地があるAIと著作権。
法の後追いはしばらく続きそうです。